風景部門 大賞・最優秀賞 | |
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画題 | 出会い |
撮影場所 | 印旛沼 舟戸大橋下 |
撮影者 | 辻 則道氏 |
辻さんの『出会い』は作品としては特別に奇をてらったものでもなく、季節感を強調したものでもなかったのですが、画作りがとても丁寧でした。色調も無理矢理作り過ぎてもいません。デジタルに少し馴れて来ると日の出などは補正や色調に若干ぎこちなさが見られるものですが、この作品は非常に自然に写されています。2羽の白鳥が逆光ですが、白にこだわらない処が良かったと思います。更に朝の色に赤味を入れたい処だったと思いますが、此の時間帯が色をいじれる時間ではないので、嫌みのない色になっています。計算された空の雲なども綺麗とは言えないごくありふれた色調ですが、とても自然に表現されています。最終審査では色の強いデジタル写真が多い中でこの自然さが逆に目立った存在となりました。 此の作品の中で特に良かったのは、動きのない白鳥が、その水紋によって拡がった水の輪の美しい動きで生かされていることです。静中の動はさりげない技術だと思いますが、品の良い佳品です。 |
風景部門 優秀賞 | |
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画題 | 懐かしの学び舎 |
撮影場所 | 佐倉市青菅 |
撮影者 | 青木 三保子氏 |
青木さんの作品は『懐かしの』と題名にありました。もし桜が無かったら廃屋となります。この事は青木さんが女性特有の繊細な感性と豊かな眼差しで被写体を見ているという事です。もし男性だったら写さないと思います。更に桜の花の位置が建物全体を包み込むようにバランスの良い量で咲いていて、この時季を待っていたかのように写しています。無機質な校舎を桜が懐かしんでいます。予選の段階から注目された画でした。技術的には桜の入れ方が抜群でした。もしこの桜の量が少なかったら、『懐かしの』は『淋しさの』に変わったと思います。 女性らしく上品に写していますが、下辺の美しい緑にもう少し広がりが有ったらどうなるでしょうか、そしてそこに動きが有ったら今の時代が写ります。とすれば観光と記録が重なるのではないでしょうか。また校舎の左側を若干カットされていますが、もし取り残された侘しさも付け加えるならばと一考を要します。校舎を大きく入れると力強くなり、広く入れると懐かしさと説明が出ると同時に記録性が出ますので、撮影以前の観点も必要です。青木さんの豊かな感性の今後を楽しみにお待ちしています。 |
イベント部門 最優秀賞 | |
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画題 | 夕映えの総踊り |
撮影場所 | 佐倉秋祭り(お祭り広場) |
撮影者 | 小椋 幸子氏 |
小椋さんの『夕映えの総踊り』は本当に良い時間帯を選んで写しました。他にも類似の作品がありましたが、この『総踊り』は光線の使い方が巧みでひときわ目立って、計算通りの作品になりました。此の作品のために良いポジション取りをして、更にアングルの取り方と動きが一致してベテランらしく隙のない画面構成となりました。よく見ると、表情の豊かな人たちを画面の中央に持って来たところなどさすがだと思いました。 時間帯から言って無理だったかもしれませんが、空の調子が整えられれば更に良くなったかもしれません。デジタルなのでこの辺りは考える余地が有りそうです。レンズの使い方が上手で山車の取り入れ方も申し分なく、手前の後ろ向きの人たちも暗く落として全く気にならない配分となっており、見事な作品です。今後も良い作品を発表してください。 |
イベント部門 優秀賞 | |
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画題 | 迫力満点 |
撮影場所 | 印旛沼・臼井 |
撮影者 | 墨谷 康世氏 |
墨谷さんの迫力満点の作品は題名通り迫力が有り、今迄の観光佐倉写真コンクールの応募作品の中でも類型が無く、見事な出来映えです。普通だと花火の写真はその全体を入れたくなるものですが、天部を1/3に詰めて下の花火を沼の水平ギリギリ迄入れた事が素晴らしいです。この水と花火のバランスは低くても駄目だし、高くても駄目だし、非常に難しく、熟練のいる技ですが、良く計算して仕上げました。 花火には色の付くものと付かないものが有りますが、此の大玉は単色なので画面全部で見せても、見る人に色の煩わしさを感じさせる事が無く、その表現力は完璧でした。これにより画面の整理が出来、力強い作品になりました。露光時間が適切で花火の流れも申し分なく、そのために色まで良く仕上がっています。沼中左辺に有る網干場はこれ以上大きければ邪魔になったと思われますが、丁度良いバランスでした。 後は仕上げの事ですが、これだけ良い作品を作るのでしたら、無理に大きいプリントにするのではなく、紙質に注意を払う事が必要です。また余白の作り方に無理が有ります。余白は作品を窮屈にするだけです。この様な大画面の作品は余白を作らず、見る人に広がりを与えてください。作品の内容に依り仕上げを考える事も大切です。今後を期待します。 |